クラウド環境とアプリケーションの オブザーバビリティ強化で 次世代型MSPへの転換を図る
- Year joined New Relic
-
2022
- Featured Use Cases
利用用途
AWSのマネージドサービスやSREのサービスを支えるオブザーバビリティプラットフォームとしてNew Relicを活用。インフラやサーバーレス環境などの状態を可視化。
New Relicの選定理由と成果
- コンテナ環境やサーバーレス環境など、クラウドネイティブな環境の監視・観測が手間なく実現
- 充実したダッシュボード機能で稼動中のシステムの状態を見たいかたちで可視化し、速やかに確認
- 問い合わせに対するNew Relicのレスポンスがきわめて早く的確なため、顧客への対応をスピードアップ
- これからのMSPに求められる要件を満たすためのプラットフォームを整備
利用機能
- New Relic Synthetics
- New Relic Serverless monitoring
- New Relic Infrastructure & Cloud
- New Relic Logs
- New Relic Dashbords
株式会社サーバーワークス(以下、サーバーワークス)は、AWS(Amazon Web Services)に特化したインテグレーション事業や運用・監視サービス(マネージドサービス)などを展開するテクノロジーカンパニーだ。クラウドのビジネス利用が本格化する以前の2009年にAWSのインテグレーション事業を始動。2014年から今日に至るまでAWSのコンサルティングパートナーの最上位に当たる「AWSプレミアコンサルティングパートナー」の認定を受けている。また、「AWSマネージドサービスプロバイダー(MSP)パートナープログラム」の認定も2015年から継続して取得している。
そうした同社のビジネスは、クラウド市場の拡大を背景にハイペースで成長を続け、2021年1月には東京証券取引所市場第一部への上場を果たした。また、2023年2月時点で国内1,090社へのAWSの導入実績を積み上げ、手がけたAWSプロジェクトの数は1万5,200件強に及んでいる。さらに、AWS MSPのビジネスにおいて同社が運用・監視しているサーバーなどの台数は約6,000台に上り、AWS認定資格取得数は累計690に及んでいる。
「クラウド市場は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流や“クラウドファースト”の流れによって拡大のスピードに拍車がかかっています。その追い風を受けて、当社のビジネスも高い成長率を維持しています。そうした流れを保つためにも、AWS MSPのサービスをさらに高度化させ、サービスに対するお客さまの満足度を維持・向上することが重要であると認識しています」と、サーバーワークス マネージドサービス部 部長の横倉 健大郎氏は言う。
その重要課題を解決する一手として、サーバーワークスが新たに導入したソリューションがNew Relicである。
New Relicは業界を代表するオブザーバビリティプラットフォームであり、デジタルサービスにおけるあらゆる重要指標の「観測」を可能にする。アプリケーション、インフラ、ユーザー体験の観測を通して、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化する機能は業界随一との評価を得ている。
次世代型MSPへの転換に向けてNew Relicを選択
サーバーワークスがNew Relicの活用を通じて目指している「サービスの高度化」とは、運用・監視のサービスを一層充実させ、顧客企業がAWS上で展開しているシステムのユーザー体験を向上させることを意味している。
「AWS上に展開しているシステムのユーザー体験を良好に保つことは、お客さまがAWS MSPの運用・監視サービスを使う究極的な目的といえます。その目的の達成をトータルにバックアップすることは、これからのMSP、すなわち『次世代型MSP』が満たすべき要件であり、AWSがMSPパートナーに求めていることでもあります。 言い換えれば、お客さまが展開しているシステムのユーザー体験に負の影響を与えるあらゆる事象の発生を可能な限り抑制・抑止することは、当社の運用・監視サービスの価値を高めていくうえでも、当社がAWSの最上位パートナーであり続けるためにも不可欠な取り組みであるということです」(横倉氏)
横倉氏によれば、「次世代型MSP」への転換を図るうえでは、これまでと同様にインフラの運用・監視を中心にしたサービスを提供するだけではなく、インフラ上で稼働するアプリケーションをはじめ、アプリケーションを使うユーザー環境、企業の間で利用が活発化しているコンテナやコンテナの統合運用管理プラットフォーム「Kubernetes」、さらには、サーバーレスコンピューティングを実現する「AWS Lambda」などの状態を包括的に監視して可視化し、システムの不安定な挙動や、実際に発生した障害の原因を早期にとらえていくことが必要とされるという。加えて、顧客企業と連携してDevOpsの体制を組み、監視の結果をアプリケーションの開発組織に速やかにフィードバックし、改善に役立てていくことも重要になる。
「このようなオブザーバビリティの仕組みは、私たちが使用してきた運用・監視ツールでも実現不可能なものではありません。ただし、従来の運用・監視ツールには、監視の対象を広げるために相当の手間をかけて機能を作り込む必要があったり、監視サーバーを自分たちで立てて運用しなければならなかったり、問題の調査や原因の特定に手間がかかるなど、さまざまな問題がありました。加えて、ツールのサポート体制にも難があったといえます。そこで、システムを構成するさまざまな要素の状態を、手間なく短時間で監視・可視化でき、かつサポート品質も高いNew Relicを採用したのです」と、サーバーワークス マネージドサービス部の塩野 正人氏は明かす。
同社ではNew Relicを選定するにあたり、他社のオブザーバビリティソリューションもいくつか導入検討の土俵に上げた。ただし、New Relicのサポート品質の高さやダッシュボード(New Relic Dashboards)の使いやすさ、さらには、料金体系がMSPの事業モデルにフィットしていたことなどが決め手になり、New Relicを選定するに至ったと横倉氏は話す。
「他社のオブザーバビリティソリューションは、多くがMSPサービスの料金体系と同じように監視対象のリソース数によって使用料が上下する体系を採用しています。それに対してNew Relicは、監視対象のリソース数ではなくユーザー数によって料金が上下します。つまり、New Relicを使う当社内の人員数によって料金が決まるということです。この体系は、当社のようなMSPという事業モデルにおいてもコストメリットを生みやすく、そのメリットをお客さまに還元しやすい課金モデルといえます」
サーバレスも含むシステム構成の障害検知と対応のスピードアップに確かな手応え
サーバーワークスがNew Relicの活用を始動させたのは2022年5月のこと。インフラの監視とログの監視、New Relic Syntheticsによる外形監視、さらにはサーバーレス環境の監視から、New Relicの使用をスタートさせた。のちには、アプリケーションパフォーマンスモニタリング(APM)などへと活用の幅を広げていく計画だ。
New Relicを使った現状の監視のスタイルについて、サーバーワークス マネージドサービス部の塩野 正人氏は次のような説明を加える。
「例えば、インフラ監視については当社の監視仕様に則って設定を実施し、それにもとづいてアラートを発する仕組みを構築しています。発報されたアラートをお客さまに通知して対処・対応を促すだけでなく、システムに重要な影響を与えるアラートは当社の標準手順に基づき復旧作業を実施するという保守サポートを展開しています」
New Relicの使用を開始して以降、システム上の障害は何も発生していないため、New Relicによって障害を検知し、問題原因を特定するスピードがどれだけ上がったかは不明ではあるものの、New Relicによって問題原因を切り分けるスピードは確実に増すはずと、サーバーワークス マネージドサービス部の福田 圭氏は期待する。
「これまでは、何らかのシステム障害が発生した際にAWS上のサーバーにログインして、状態を確認する必要がありました。それがいまでは、New Relicのダッシュボード(New Relic Dashboards)を使い、サーバー内の状態を可視化することが可能になっています。New Relicのダッシュボードは可視化の機能が充実しており、使い勝手にも優れていて、サーバーのどのプロセスがCPUのリソースをどれだけ消費しているかなど、問題調査の際に私たちが知りたい情報を、見たいかたちを一瞬で表示させることが簡単に行えるようになっています。このダッシュボードの機能をうまく使えば、問題の調査と原因を特定する作業は大きく効率化できると見ています」(福田氏)
一方、塩野氏はNew Relicによるサーバーレス環境監視の効率性を高く評価する。
「私たちが使用してきた従来の監視ツールでは、サーバーレス環境における障害発生を検出するために、相当の手間をかけて機能を作り込む必要がありました。それに対してNew Relicの場合、AWS Lambdaなどを使ったサーバーレス環境からAWS Lambda関数の性能を示すデータなどをリアルタイムに収集でき、そうした情報をもとにサーバーレス環境に性能上の問題があるかないかを確認したり、異常検知の仕組みを構築したりすることが、簡単な操作で可能になりました。サーバーレス環境については、お客さまの間でも関心が高まっており、性能上の問題もよく指摘されます。その意味でも、New Relicのサーバーレス環境監視の機能は非常に魅力的です」
さらに、塩野氏、福田氏、そして横倉氏は声を揃えてNew Relicのサポート品質に言及し、「品質はきわめて高い」と評価する。
「New Relicのサポートは秀逸で、こちらの問い合わせに対する回答が非常に早く、かつ的確です。こうした迅速な対応は、当社によるお客さまへの対応をスピードアップに直結します。その一点だけをとらえても、New Relicを選んだのは正解だったと言えます」(塩野氏)
New Relicを活用しSREサービスを展開。顧客価値をさらに広げる
先に触れたとおり、サーバーワークスでは今後、New Relic APMの導入など、New Relicの活用の幅をさらに押し広げていく計画だ。その計画について、横倉氏は次のような説明を加える。
「現在当社では、MSPサービスだけではなく、お客さまごとに専属エンジニアをアサインし、Webサイトやオンラインサービスの信頼性を担保するSREのビジネスも手掛けています。その案件をこなすうえでは、当社のエンジニアとお客さまのアプリケーション開発チームが一体となって問題の解決にあたる必要があり、その連携を円滑にするためのプラットフォームとしてNew Relicを使い、APMやKubernetes監視などを実現していく計画です」
加えて横倉氏は、サーバーワークスが2022年6月に買収(完全子会社化)したアプリケーション開発会社、株式会社トップゲート(以下、トップゲート)ともNew Relicを介してDevOps体制を組むことを視野に入れている。
「New Relicを介してトップゲートと密接に連携できれば、クラウド向けのアプリケーションの開発から運用・監視・改修などのサービスを一気通貫でスピーディに展開できるようになります。そうなれば、ビジネス成長のチャンスが広がるはずです」(横倉氏)
こうした計画を踏まえながら、横倉氏はNew Relic活用の今後について、こうまとめる。
「New Relicが提供している機能は豊富で、それらを使えばAWS上のシステムを構成するあらゆる要素の監視が可能になるほか、New Relic AIを使ったインテリジェントな障害検知の実現や、セキュリティ脆弱性管理機能も追加できます。今後、これらの機能を適切に組み合わせることで、当社が提供する運用・監視サービスのお客さまにとっての価値を最大化していきます。また、そうすることで次世代型MSPへの転換も実現できると期待しています」(横倉氏)