利用用途

株式会社電通が利用する基幹業務システム/共通基盤システムにおけるトラブルシューティング、新規アプリケーション開発における品質向上にNew Relicを活用

New Relicの選定理由と成果

  • ハイブリッドクラウド/マルチクラウド環境におけるフルスタックオブザーバビリティの実現
  • 多様なシステムにおける問題発生時の原因特定と解決を迅速化
  • コンテナアプリケーションの開発生産性と品質を向上

電通国際情報サービス(ISID)は、株式会社電通(以下、電通)とGEのジョイントベンチャーとして設立された歴史を持つ。先進的な情報技術への精通とクリエーティビティを兼ね備えたITソリューションカンパニーとして、大手金融機関や製造業など、幅広い顧客企業と強固な信頼関係を築いてきた。また、電通のシステム構築・運用において中核的な役割を担っている。コミュニケーションIT事業部の澤井克之氏は次のように話す。

「ISIDでは、X Innovation(クロスイノベーション)というコンセプトを掲げ、業界の枠を超えた新規ビジネスの創出に取り組んでいます。ISIDが培ってきた先端テクノロジーの実装力を基盤に、電通グループ内外のアイディアやリソースを融合させてユニークな成果を送り出しています。電通グループのシナジーを最大限発揮させるための共通プラットフォームの開発・運用も、私たちの重要なミッションのひとつです」

澤井氏が所属するコミュニケーションIT事業部では、基幹・業務系からデジタルマーケティングまで、モダンなシステム/アプリケーション開発を通じて、電通グループをはじめ様々な企業のビジネス成長とデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援している。

「電通全体で運用するシステムは1,000を超えます。長年にわたりオンプレミス環境からサービスを提供してきましたが、2010年頃から本格的にクラウド活用を進め、その後パブリッククラウドへ大きく舵を切りました。汎用的なアプリケーションにはSaaSを積極的に活用しつつ、ビジネスの競争力に直結するシステムは独自開発にこだわってモダナイゼーションを加速させています」(澤井氏)

オンプレミスからクラウドへの移行は急ピッチで進められており、向こう1年で主要なシステムの大半をAWS、Azure、GCP上で稼働させる計画だという。

「移行期においてはオンプレミスとクラウドが共存するハイブリッド環境が続き、移行完了後はマルチクラウド環境となります。ISIDのミッションのひとつは、こうした多様なシステムを安定的に運用し、何らかの問題が発生した際には速やかに解決することです。私たちは、この課題に正面から向き合うために、オブザーバビリティ(可観測性)プラットフォームNew Relicを採用しました」(澤井氏)

多様な顧客システムのオブザーバビリティを実現

New Relicは業界を代表するオブザーバビリティ(可観測性)プラットフォームであり、デジタルサービスにおけるあらゆる重要指標の「観測」を可能にする。アプリケーション、インフラ、ユーザー体験の観測を通して、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化する機能は業界随一との評価を得ている。

ISIDがNew Relicを導入したのは2022年初頭である。まずAPM(Application Performance Monitoring)から活用を開始した。

「New Relic APMの威力がいち早く発揮されたのは、電通の重要な業務を支えるアプリケーションのパフォーマンス問題の解決でした。既存の監視ツールでは見えなかったアプリケーションプロセス上のボトルネックを可視化し、原因を特定できたおかげで迅速に問題を解決できました」と澤井氏は振り返る。

New Relic APMは、Webアプリケーションのレスポンスタイム、スループット、エラー率、トランザクションなどを可視化するとともに、ユーザー体験に影響するコードやコード間の依存関係をリアルタイムで特定できる。

「お客様の多様な環境の運用をサポートする私たちにとって、New Relic APMがあらゆるシステムに汎用的に適用できること、横串でモニタリングできることは非常に大きなメリットです。現状では、システムごとの特性や用途によって使われているモニタリングツールは様々ですが、それらのツールが特定できないコードレベルの問題点をNew Relic APMなら容易に明らかにすることができます」(澤井氏)

澤井氏は、電通の共通基盤システムの構築・運用を担うチームのリーダーであり、統合認証システムやファイル共有システムのモニタリングとトラブルシューティングにもNew Relic APMやBrowserを活用している。

ISID様事例2

株式会社 電通国際情報サービス  コミュニケーションIT事業部  システム基盤開発部    マネージャー 澤井 克之 氏

新会計システムの開発にNew Relicを活用

電通のクラウドシフトは着実に、かつスピード感を持って推進されている。変化するビジネス要求に柔軟に応えるためのアプリケーションのモダナイズも重要なテーマだ。現在、新たな次期会計システムの開発が急ピッチで進められている。

「新しい会計システムは、グループ経営をさらに強化するための基盤となるシステムのひとつです。マイクロサービスアーキテクチャーを採用したコンテナアプリケーションとして設計され、AWS上に構築されたシステムから電通グループ各社にサービス提供されます。基幹業務アプリケーションの開発にCI/CDを適用していることも新しいチャレンジです。New RelicはDevOpsにおける開発生産性と品質の向上に貢献しています」(澤井氏)

澤井氏が注目したのはNew Relicの「分散トレーシング」である。複数のサービスが連携するマイクロサービスアーキテクチャーでは、パフォーマンス問題が発生した時、プロセス全体の中でどのサービスがボトルネックになっているのかを特定するのは難しい。

「New Relicの分散トレーシングでは、複雑なアーキテクチャーの中でやり取りされるサービス間の連携を容易に可視化・分析できます。これにより、通信の遅延などのパフォーマンス問題の原因特定を迅速化して、ミッションクリティカルアプリケーションの開発生産性を高め、品質を向上させることが可能です」(澤井氏)

標準オブザーバビリティツールとして活用を推進

「New Relicを検討するきっかけとなったのは、ハイブリッドクラウド/マルチクラウド環境で横断的にログを収集・管理するためのシステムを模索していたときでした。New Relic Logsであれば、アプリケーションとインフラのパフォーマンスデータ、イベントログ、エラーログなどを収集し、本番環境でのトラブルシューティングに役立てることができます。Logsによる統合的なログ管理システムの構築にも、間もなく着手する予定です」と澤井氏は話す。

澤井氏は、自身の経験から得たNew Relic活用のノウハウを社内で啓蒙しつつ、New Relic技術チームのサポートを受けながら様々なシステムへ適用範囲の拡大を進めている。

「アプリケーションのマイクロサービス化や、システムのハイブリッド/マルチクラウド化で、運用支援を担う私たちの負荷が高まっていくことは間違いありません。New Relicの活用を進めて生産性を向上させ、よりバリューの出せる領域に注力できるようにしたいと考えています。そのためには、電通内で今最も注目されている次期会計システムで、New Relicの効果と有用性を示すことが重要になります。New Relicのようなツールがあることで、少しずつ環境が人やシステムをレベルアップしていくことにも期待しています」(澤井氏)

New Relicを必要なシーンで適用すれば、即座にその環境を可視化して問題点を特定でき、迅速にトラブルシューティングを行えることはすでに証明されている。澤井氏は次のように結んだ。

「私自身は、アドホックかつピンポイントで問題解決に貢献できることにNew Relicの大きなメリットを感じています。また、オンプレミスからマルチクラウドまで、あらゆるシステムに横断的に適用できる汎用性は、様々な問題に対峙しなければならない私たちにとって非常に価値があります。ISIDのより多くのエンジニアがNew Relicを活用し、クライアントやビジネスパートナーと一体となって新しい仕事スタイルを身につけることがひとつの理想と言えるでしょう。New Relic社には、ISIDと国内電通グループ各社におけるオブザーバビリティの利用推進をサポートしてもらえることを期待します」