New RelicでECサイト、モバイルアプリのオムニチャネル顧客体験を可視化
今日の小売業界では、消費者は商品や購入方法だけでなく、小売業者が提供する購買体験への期待が高まってきています。小売業者がビジネスをデジタル時代に適応させようとする中、オムニチャネル小売は、業界が成功への道筋だと考えている重要な取り組みです。
しかし、オムニチャネルとは具体的に何を意味し、なぜ重要なのでしょうか?簡単に言えば、オムニチャネル・リテーリングとは、すべての実店舗とオンライン・チャネルでシームレスな体験を提供することです。最近では、小規模な小売業を除いて、実店舗やEコマースサイトだけでは十分ではないため、オムニチャネルは重要です。
実際、米国で最も人気のあるeコマースカテゴリーであるオンラインアパレルの売上高は、2018年から2022年の間に50%増加すると予測されており、人気アパレルデザイナーであり小売業でもあるAmerican Eagle Outfitters(AEO)のような企業は、デジタルを最大限に活用するために努力しています。AEOの場合、AEOとAerieの実店舗とEコマース事業を、優れたデジタルマーケティングと最高のパフォーマンスを発揮するウェブサイト、モバイルアプリをリンクさせることでオムニチャネルでの顧客体験構築に取り組んでいます。
AEOはシームレスなショッピング体験の実現のために、Webサイトやモバイルアプリなどのオンラインと店舗内ソリューションを迅速かつ継続的に開発しています。実装後は実店舗などでの実験を通して改善のためのデータを収集します。AEOの「Reserve-Try-Buy」プログラムは、顧客がモバイルアプリを使って商品を予約して近隣店舗に取り寄せ、後日に店舗で試着してから購入できるもので、オムニチャネルの良い例です。しかし、このシームレスな顧客体験は、それを支える技術に不具合があれば無駄になってしまいます。
すべての顧客がチャネルに関係なく、シームレスで高性能かつ効果的なショッピング体験を体験できるようにするために、AEOはインフラストラクチャとEコマースシステムの監視、データ収集、分析のためにNew Relicを選定しました。
継続的に改善しつづける文化を形成
1977年にJerry SilvermanとMark Silvermanの兄弟によって設立されたAEOは、ミシガン州ノビのモール内の一店舗からスタートしました。現在では、主に10代と若年層をターゲットとしたカジュアル衣料品を販売する同社は、1,000以上の店舗を運営し、世界中で約40,000人の従業員を雇用しています。
Colin Bodellが2016年に最高技術責任者(CTO)としてAEOに入社したとき、同社はすでにオムニチャネル戦略の実行を開始していました。ボーデル氏の仕事は、そのAEOの戦略の実行をテクノロジーを通じてサポートすることでした。Bodell氏は、自分の優先事項を次のように説明しています。「私の第1優先事項はセキュリティ、第2優先事項は可用性、第2優先事項はレイテンシー(速さ)です。セキュリティが確保されていなければ、Webサイトを運営はできません。セキュリティが確保されたら、今度は24時間365日いおつでも利用できることが重要です。そして可用性が担保できたら、今度はより速くなければなりません。いたってシンプルなことです。」
これらは言うのは簡単ですが、いずれも実現にはハードルがあり、特に速さを担保することは楽なことではありません。そんな折、Bodell氏はNew RelicのモニタリングソリューションがAEOのサービスで稼働していることを知り、そのメリットを最大限に発揮するために動きます。
その時の状況をAEOの製品サポートマネージャーであるMatt Kundratをこう振り返ります。「私がAEOに入社したとき、Rubyアプリーケションを監視するために既にNew Relic APMが導入されていました。しかし当時New Relicを利用していたのはエンジニア1人だけでした。サンフランシスコのオフィスでモバイルアプリの開発を開始したとき、そのモニタリングにNew Relic Mobileを導入することを決め、そこからNew Relicソリューションの本格展開が開始され、モバイルアプリの監視も実施し始めました。
New Relicの導入・活用は、AEOのメンバーがツールで何ができるのかを理解するところから始まります。Kundrat氏は、New Relicのカスタマーサクセスチームと連携し、ランチセッションや定期的なQ&Aセッションなどを設け、New Relicの掲げるObservability(可観測性)の考えとその実践のモニタリングを企業文化として定着させることに成功しました。
Kundrat氏は「New Relic APMを利用する人が増え、特に私のチームがサポートやモニタリングを行うようになり、サイトのパフォーマンスをよりよく把握できるようになりました。New Relic以外にもパフォーマンス監視ツールを導入していましたが、データ統合などのメリットを考慮してNew Relicに統一し、最終的にはNew Relic BrowserとNew Relic Syntheticsを追加してあらゆる環境を監視できるようにしました」と述べています。
その後、AEOはNew Relic Insightsも追加したことで、New Relicプラットフォーム全体からイベントデータやメトリックデータをリアルタイムで収集、整理し、ダッシュボード化することで、アプリケーションのパフォーマンスや顧客体験に関する重要な情報を可視化し、いつでもアクセスできる状態になりました。
最大のECイベントを乗り越える
New Relicを通して得たリアルタイムのインサイトは、多くの企業がサーバーダウンに陥りやすい小売業界最大のイベント、サイバーマンデー(感謝祭の翌週月曜日)の際に大いに役に立っています。
Bodell氏のチームは、New Relicのダッシュボードを利用して問題を迅速に発見・診断できるだけでなく、問題解決に向けた進捗状況を分単位で更新して関連部門に共有することもできます。
「もしNew Relicがなかったら、社内の関連部門からの問い合わせ対応だけで自分の仕事が一切出来ないと思います」とBodell氏は述べています。
「特に顕著な効果が出たのが2016年のサイバーマンデーでした。リアルタイムにサービスのパフォーマンスを監視し、問題を発見したらエンジニアが設定を変更して迅速に解決するという活動を続けたことで、AEO史上最大のEC売上を記録しました。(2016年時点)年間で最も忙しい日に重大な問題を検出し、解決するために必要な可観測性を提供してくれたのがNew Relicでした。この時の成功を受けてNew RelicはAEOの経営層の支持を獲得し、活用の範囲がさらに広まりました。」とKundrat氏は述べています。